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Web3で本当に地域活性ができるのか? -前編-

2023年8月30日(水)、株式会社にっぽんの宝物と株式会社テイラーワークスは、地域創生における効果的なWeb3の活かし方を探るウェビナー『Web3で本当に地域活性できるのか?』を開催しました。
地域創生になじむWeb3の考え方やコミュニティ形成に不可欠なポイントを、多くの実績に裏づけされた独自の視点から解説。
前編の今回は、地域創生におけるWeb3・コミュニティ形成のポイントをお伝えします。

 

イベント概要ウェビナー概要・登壇者

まずは株式会社にっぽんの宝物(以下にっぽんの宝物)の羽根拓也氏が地域創生で成果を上げるWeb3の考え方を解説しました。

株式会社にっぽんの宝物
地方の原石を世界レベルのヒット商品に育てるプロジェクト『にっぽんの宝物』を運営。
地方発のサクセスストーリーを多数生み出し、テレビ東京ガイアの夜明けなどでも特集され大きな反響を呼んでいる。
https://www.undiscovered.jp/

 

次に株式会社テイラーワークス(以下テイラーワークス)の大澄いづみ・澤田統が、今求められるコミュニティの在り方について説明しました。

株式会社テイラーワークス
地域や業種を越えたコラボレーションを生み出すソーシャルコミュニティプラットフォーム『Tailor Works』を運営。
地域産業の発展にも貢献すべくコミュニティの開設〜運営、コミュニティからの価値創出に向けたサポートを行う。
https://tailorworks.co.jp/

 

「にっぽんの宝物プロジェクト」とは

『にっぽんの宝物プロジェクト』の概要についてです。

にっぽんの宝物プロジェクトは、まだ世に知られていない日本の原石を、誰もが知る宝物=売れる商品に変えていこうという試みです。
事業者はまずセミナーに参加し、地域グランプリ、JAPANグランプリ、そしてWORLDグランプリと「4つの階段」を上って成長していきます。

にっぽんの宝物プロジェクト発の「宝物商品」を扱う自然食品店は初年度に200万円を売り上げ、翌年は400万、3年目は800万と指数関数的に売り上げを伸ばしました。

なぜこんなにも売れるのでしょうか?

地方にある良いものが「売れるように磨かれている」からです。
宝物を磨く過程、つまり4つの階段を上る過程では参加者同士の話し合いや相談が不可欠であり、Web3の要素を含んでいるとも言えます。

 

 

地域創生とWeb3のかかわり

Web3は「価値のインターネット」とも呼ばれるデジタル経済圏です。特定の企業・組織から制約を受けることなく、個人が協働して価値を共創・やりとりできる点が従来とは大きく異なります。
しかし地方ではWeb3はまだ馴染みの薄いようにも感じます。羽根氏はWeb3を地域創生にどう活かしているのでしょうか。

 

協働による集合知を活かした地域創生

宝物を生み出し、地域を盛り上げていくには集合知の活用がポイントです。
地方で活動している職人タイプの人たちのなかには、すごくおもしろいものを持っているのにインターネットに触れたことがない、海外への渡航経験がない方も少なくありません。彼・彼女らの個人知もすばらしいけれども、集合知で商品開発したほうが良いものが生まれやすくなります。

にっぽんの宝物では最初のセミナーから1次産業から3次産業まで、さまざまな事業者・個人が参加します。商品について異なる分野の専門家から意見をもらえる、世界の流れや社会の動きを教えてもらえるなど、商品開発に関するあらゆる情報が得られる仕組みです。

多様な知見が集まることによってコラボレーションの力で他の事業者や地域・全国の人たちからアドバイスやアイデアをもらいながら商品開発に取り組んでいます。

 

DAOの活用

羽根氏はプロジェクト運営にWeb3の考え方も取り入れるだけでなく、DAO(個人がプラットフォームをつくって活動する組織)も活用しています。

にっぽんの宝物プロジェクトが成功している秘訣は、DAO=ブロックチェーンの技術とリアルのつながりの融合です。
地域を盛り上げたい事業者や自治体、地域金融機関、メディア、商工会議所……全員が協力して動いている状態が先にあること。リアルの土台の上にインターネットから参画できる人が集まる構図が重要です。
インターネットだけではやはりリアリティに欠けてしまいます。参加者が持つさまざまな知見・視点の違い・技術・エネルギーを提供できる場がなければ、DAOをつくっても効果的とはいえません。

 

DAOを運営するポイント

続いてDAOを設計・運営する3つのポイントも語られました。
DAOをつくる場合にはしっかりとした大義が必要です。地域を応援したい、今こそオールジャパンで打って出ようなど大義を明確に掲げるからこそ、多くの人たちからの協力を得られます。

そのうえで参加者を置いてけぼりにしないことが大切です。
最初から活発に動ける人もいれば、ある程度波が出てこないと動けない人もいます。多くの人に参加してもらいながら、全員が簡単に参加できる方法を設けておけば会話が盛り上がっていく可能性が高まります。

最後に、ファシリテーターの存在です。様子を見ながらうまく会話を盛り上げてくれるとDAOを運営しやすくなります。

 

Web3時代に求められるコミュニティの在り方

ここからは羽根氏に代わってテイラーワークスの大澄さん・澤田さんがコミュニティの観点から、Web3について掘り下げます。

 

コミュニティが注目を集める背景

Web3が活況の今、どのようなコミュニティが求められるのでしょうか。インターネットの変遷から、コミュニティが重視される背景を整理していきます。

 

Web1・Web2の頃は一部の大企業やメディアが情報や影響力を持っていましたが、Web3が台頭してくると、情報や影響力が個人にも行き渡るようになりました。
発信相手を選ぶのではなく逆に相手から選ばれ、意欲を持って参加してもらうことが重要です。
つまり自社を取り囲むステークホルダーとのフラットな関係構築が求められるようになったため、コミュニティが重要視されているのです。

 

コミュニティ形成の罠

コミュニティが注目を集める今、意識しないと陥りがちな「コミュニティ形成の罠」があると大澄さんは話します。

 

コミュニティ形成では、「自社起点」のアプローチをしてしまいがちです。
自社の製品・サービスを売り込む形のコミュニティでは参加者からの自発的・継続的な関わりは見込めません。
そこで推奨されるのが、図の右側にある「社会起点」のアプローチです。
自社もコミュニティの一員として参加者と共通の目的を持ち、ともに達成を目指す形です。

 

 

多様なステークホルダーとともに価値を創出・分配していくため、中心となる共通目的は「価値をどう最大化していくか」になっていきます。

コミュニティの目的=参加者の目的のため、参加者みずからの意思で動きやすくなり、コラボレーションが生まれやすくなります。
また自社とステークホルダーが利益相反の関係とならないため、コミュニティ自体が中長期的に事業に資する経営資源となるでしょう。

 

コミュニティ形成における2つのポイント

大澄さんはステークホルダーと共創コミュニティを設計するうえで「余白」と「ファシリテーション」が大切だと述べます。

1. 余白

共通目的を達成するために参加者がなにかしらの役割を担えるような「余白」が重要です。
一方的に情報を発信するのではなく、自社で開放できるリソースを考え、自発的に参画してもらえるようにコミュニティをデザインしていきます。

2. ファシリテーション

羽根氏もお話しされたとおり、ファシリテーションも必須の要素です。
ただ場を設けるだけでは参加者の自発的な行動は見込めません。
ファシリテーターは活動のサポートや対話を通じてコミュニティの求心力を維持する役割を担います。

 

まとめ

本ウェビナーの前半となる今回は地域創生とWeb3の関わり、またWeb3に求められるコミュニティについて学びました。コミュニティ形成・プロジェクト運営というとどうしても自社中心で考えてしまいがちです。しかし今重要なのはステークホルダー・参加者との共通目的だというのは大きな気づきになったのではないでしょうか。
後編ではWeb3の失敗例や、コミュニティ運営に関するよくある疑問を紹介します。

後編はこちら

 

地方の原石を世界レベルのヒット商品に育てる 『にっぽんの宝物プロジェクト』 に興味がある方は 株式会社にっぽんの宝物へ、
ステークホルダーと築く共創コミュニティに興味がある方は株式会社テイラーワークスへ、お気軽にお問い合わせください。

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