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共創で地域社会の未来を拓く!企業が担うべき役割とは?

2023年5月23日(火)、株式会社サイバーレコードと株式会社テイラーワークスは、地域の課題解決に向けて企業がアプローチする方法を語るウェビナー『共創で地域社会の未来を拓く!-企業が担うべき役割とは?-』を開催しました。
地方ではDX推進などの課題を抱える自治体が多くあります。本ウェビナーでは自治体と企業が協力して課題解決するポイントが事例とともに紹介されました。

ウェビナー概要

前半は株式会社サイバーレコード(以下、サイバーレコード)の桑原氏が、企業版ふるさと納税の活用法ついて解説しました。

株式会社サイバーレコード
ECサイトやふるさと納税の運営代行、地域課題解決業務を手がける。
また企業版ふるさと納税のプラットフォーム「river」の九州支社の役割も担い、地域と企業の双方を、計画書の作成からディレクション、寄付金の使い道の調整までサポートする。
https://www.cyber-records.co.jp/



後半は株式会社テイラーワークス(以下、テイラーワークス)の佐久間と菅野が共創コミュニティによる地域活性化事例を紹介しながら、成功へのTipsを分析しました。


株式会社テイラーワークス
「こころ躍るコラボレーション」を届けるテイラーワークスは、信用と共感を軸としたエコシステムを構築することにより、あらゆるビジネスパーソンが、知見、経験、ネットワークといったソーシャルキャピタルを拡張しながら産業や地域を越えたコラボレーションを実現できる社会を目指す。
ビジネス向けコミュニティプラットフォーム「 Tailor Works 」を提供。
https://tailorworks.com/


企業版ふるさと納税の概要

まずは、企業版ふるさと納税の概要から学んでいきます。

企業版ふるさと納税とは


こちらが、個人版ふるさと納税との主な違いと、企業版ふるさと納税の概要です。

1.受けられる税制優遇・・・寄付額の1割の自社負担
2.控除される税金・・・法人税・法人住民税・法人事業税
3.返礼品・・・経済的な見返りは受け取れない


また、国から認定を受けた地方公共団体が実施する地方創生プロジェクトに企業が寄付すると、寄付額の3割の損金算入にくわえて最大6割を法人関係税から控除できるそうです。


企業版ふるさと納税の市場は2019年頃から年々拡大しており、今後の発展が見込まれます。

企業版ふるさと納税の3つの留意事項

市場の拡大が目覚ましい企業版ふるさと納税ですが、次の3点には注意が必要とのことです。

1.寄付額は最低10万円
2.寄付の代償として経済的な利益を受け取ってはいけない
3.内閣府からの認定を受けていない自治体・本社が所在する自治体への寄付は税額控除の対象外

企業が企業版ふるさと納税を利用するメリット

制度の概要がつかめてきたところで、最後に企業側のメリットが紹介されました。

1.社会貢献=企業としてのPR効果
2.地方公共団体とのパートナーシップ構築
3.新規事業の展開

たとえば、自社の社会貢献活動費を一部税金として利用する方法。そのほか企業プロモーションの意図での利用など、制度によってさまざまな使い方をされているそうです。

企業版ふるさと納税を活用したパートナーシップ構築の2事例

企業は、寄付をした先に「受け入れる事業」があるという視点を持ってほしいという桑原氏。アステリア株式会社による2つの事例が紹介されました。

1. 熊本県小国町:小国杉の保全から業務効率化へ発展


同社の小国町への寄付は5年にわたります。当初の目的は特産品の小国杉を育てることでした。町の職員と会議を重ねるなかで地域の課題を吸い上げ、結果的に業務効率化の推進も別で展開し、そこでは同社のICT製品が活用されています。

2. 熊本県水上村:自治体との協業によるアプリの実証実験

熊本県水上村への寄付では、連携協定や事業組成に関わっています。同村でのアクティビティを支援するアプリを共同開発し、実証事業をおこないました。
桑原氏は企業版ふるさと納税と実証事業の相性は非常に良いと話します。

企業版ふるさと納税を活用した中小企業のDX推進の2事例

地方になればなるほどDX化の課題を抱える中小企業は多くなります。制度をDX推進にうまく活用した事例の紹介もありました。

1. eスポーツを提案


eスポーツの実証事業を自治体に持ちかけ、地域課題と合致したために企業版ふるさと納税による寄付を充当し、プロジェクトが実施されたケースがあります。
自治体とともに事業をつくり、制度の利用で必要資金の一部を納める手法もあると桑原氏は解説。
企業側はさまざまなデータの取得も可能で、自治体とのプロジェクト組成は今後増えるのでは、と語りました。

2. 地方企業とのコンソーシアムによるDX推進

DX推進のソリューションを持つ企業であれば、自治体の事業組成の支援を行うことが可能だそうです。
ただし、受託に関しては、あくまで公平性の担保が重要で、寄付を理由としての受託をすることはできません。寄付をきっかけに情報交換をするなかで、公募となることなどの前提を踏まえ、自主事業の発展につなげていく方法を検討することもできそうです。

共創コミュニティによる地域活性化3つの事例

後半に入り、テイラーワークスの佐久間さんが共創コミュニティによる地域活性化の事例を3つ紹介。

1. 地域企業と全国のスタートアップ企業のマッチングによるDX化推進


まずは静岡銀行と静岡県のコミュニティです。静岡県内の企業と全国のスタートアップ企業のマッチングによるDX化の支援を目的に、毎年オンライン・オフラインのハイブリッドイベントを開催しています。
さらにコミュニティの運営により、イベント後もコミュニケーションが取れるなど継続的に活動できることで、イベント内での交流や熱量を単発で終わらせない効果があると言います。

2. 堺市のイノベーション創出推進


2つ目は堺市のイノベーション創出活動です。職員を中心とした活動の中で、職員のリソースやネットワークに限りがあることが課題の一つでした。
コミュニティ化した後は多方向のつながりが生まれ、参加者同士でプロジェクトを起こす動きも見られています。
コミュニティ運営を行う上では「参加者の顔が見える」状態を意識し、毎月ゲストを招いた雑談の実施、堺市で活動する事業者をマガジン機能で紹介するなどの取り組みも行われています。

3. 北海道の経済成長に資するイノベーション創出


最後は北海道の地域課題の解決に対して事業会社が場を設計した事例です。
NTT東日本-北海道が旗揚げし、北海道電力、北海道銀行、パーソルなど道内で事業を行う多様な企業がコンソーシアムとして活動しています。
従来は北海道の企業と地域の参加企業とが個別につながっていましたが、コミュニティ化によって企業の枠を超えたつながりや、北海道外に拠点を置いているがコミュニティの趣旨に賛同した参加者とのつながりが生まれ、活動範囲が大きく広がりました。

コミュニティ運営に必要な2つの要素

こうしたコミュニティ運営で意識すべきポイントについて、佐久間さんはこのように話します。

1. オーディエンスマネジメントからコミュニティマネジメントへ


図の中心にある「オーディエンスマネジメント」では、中心組織のみが各参加者とつながっています。この形では働き方や発信媒体が多様化する現在、すべての参加者に情報を届けづらい点がネックです。
そこで図の右側の「コミュニティマネジメント」へ移行し、参加者同士でもコミュニケーションを取り、支え合えるような場づくりが大切だと話します。

2. コミュニティを「経営資源」として意識する

デロイトトーマツコンサルティングは「人・物・金・情報」に続く第5の経営資源としてコミュニティを挙げています。
(参照:デジタル時代の第5の経営資源「コミュニティ」で価値を共創する | DIAMOND Quarterly 広告企画)


コミュニティが拡大すれば、得られるリターンも大きくなるのではないでしょうか。企業側は新規取引の増加、自治体側は新規雇用や税収アップなどが中長期的にもたらされるとの見解です。
コミュニティを経営資源として捉え、維持拡大するための動きを意識していると言います。

事業活動におけるコミュニティのTips

最後に、事業活動におけるコミュニティのポイントについて解説。
無理やりコミュニティで囲い込むのではなく、共感してもらえるコミュニティの目的を設定し、一緒に活動したいと思ってもらえる参加者全体の共通目的を掲げることが大切であると話します。
たとえば、デジタル庁が発信するマイナポータルに関するハッカソンでは、「マイナポータルを活用すれば国民の生活が良くなる」という共感がうまくつくられていると分析します。

まとめ

本ウェビナーでは、企業版ふるさと納税の活用方法と今後の可能性を感じるとともに、共創・コミュニティもますます重要性を増すであろうと感じました。
とくにイノベーションの創出や地方のDX推進はすでに広く認知されている課題です。困っている自治体や地域企業が多くある一方で、ソリューションは持っているが協業先が見つからず苦労している企業も多いのではないでしょうか。

企業版ふるさと納税についてくわしく知りたい方は株式会社サイバーレコードへ、
成果につながるコミュニティ運営について聞いてみたい方は株式会社テイラーワークスへ、お気軽にお問い合わせください。

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