コミュニティコーディネーターとは?まちの保育園・こども園から生まれた 地域と人々をつなぐ職業

コミュニティコーディネーターとは?
まちの保育園・こども園から生まれた
地域と人々をつなぐ職業

地域課題の解決や地域経済の活性化などを目的として、コミュニティマネージャーやコミュニティビジネスなど、「コミュニティ〇〇」という言葉を耳にする機会が増えています。

そのなかで、「コミュニティコーディネーター」が最近注目されていることをご存知でしょうか。

コミュニティコーディネーターとは、園内の子ども、保護者と地域を結びつける役割を担う仕事のことを言います。本コラムでは、コミュニティコーディネーターの概要、地域コーディネーターとの違いについて解説します。

地域福祉や保育、地方創生、地域活性化などに関心があり、「コミュニティコーディネーター」について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

コミュニティコーディネーターとは?

コミュニティコーディネーターとは、園内の子ども、保護者、保育士、地域を結びつける役割をもつ仕事で、CCと略されて呼ばれることもあります。
コミュニティコーディネーターは、『子どもを真ん中にした「まち」のコミュニティ』をコンセプトに保育事業を行なっている「まちの保育園・こども園」から生まれた職業です。

地域コーディネーターと混同されがちですが、コミュニティコーディネーターは地域だけでなく、保育園、子ども、保護者とのつながりも重視します。2世帯、3世帯で住む大家族が減り、核家族が増えた日本では、地域でのつながりの希薄化が課題視されています。地域で子どもを育てていくために、地域との関係性を構築するコミュニティコーディネーターのような役割が求められています。

コミュニティコーディネーターの定義

ここではコミュニティコーディネーターの定義について紐解いていきます。まず、コミュニティは直訳すると、「共同体」「地域社会」です。

もともとコミュニティは「一定の地域において営まれている自主的な共同生活」という意味でしたが、近年は「共通目的がシェアされており、新しい価値が生まれていて、かつ人以外の集合体も接続する役割を担う場」という意味で使われます。

一方、コーディネーターは、企画や生産、販売などのプロセスを管理し、効率的に推進する役割をもつ人のことを指します。

つまり、コミュニティとコーディネーターをかけ合わせると、「コミュニティ内で発生する企画、生産、販売などの業務を管理し、遅滞なく遂行する仕事」と表現できるでしょう。

コミュニティコーディネーターの仕事

コミュニティコーディネーターの役割は、地域や保護者、保育園のコミュニティ同士のハブになるという目的はあるものの、職務は限定されず多岐にわたります。地域連携に伴う企画だけでなく、事務作業、用務、手が足りない時には保育補助なども行います。

コミュニティコーディネーターに求められるもの

コミュニティコーディネーターには、どのようなスキルやマインドが求められるのでしょうか。

まず、保育に関わる点で、子どもが好きなことが前提となります。さらに、子どもだけではなく、保育士、保護者、地域など多様なコミュニティや人と接するため、人に対する強い興味・関心も持ち合わせていないといけません。

また、コミュニティコーディネーターは明確な業務内容が決められていないため、手探りで何が正解か、今必要なことを主体的に「問う力」が求められます。

コミュニティコーディネーターを生んだ「まちの保育園・こども園」

ここでは、コミュニティコーディネーターという職業をつくった「まちの保育園・こども園」の概要や特色について解説します。

「まちの保育園・こども園」とは

「まちぐるみで子育て」をテーマに、現在東京を中心に5つの施設を展開している保育園・こども園です。他の保育園・こども園と異なる特色は、子どもの学びや育ちに地域や保護者などが参加することです。

地域や保護者との接点をつくるために、各園にはカフェ、「まちのこども園代々木公園」ではエントランススペースに展示会場や研修施設、コミュニティセンターの役割をもつ「The Children and Community Learning Center」が併設されています。また写真や文章による「ドキュメンテーション」で子どもの学びの記録をシェアするなどしています。

各園には専属のコミュニティコーディネーターが在籍しており、子ども、地域や保護者、保育園の橋渡しの役割を果たし、まちぐるみで保育を実施できるよう努めます。

「まちの保育園・こども園」がコミュニティコーディネーターをおく理由

まちの保育園・こども園では、子どもが地域、社会、文化の中で育つことを重視しています。そこで重要な役割となるのがコミュニティコーディネーターです。

保育園が地域で子どもを育てていく方針を打ち出したところで実現はできません。
コミュニティコーディネーターが、保護者、子ども、保育士、保育園、地域との信頼関係を築き、それぞれのコミュニティの橋渡し役となることで、はじめて地域で一体となって子どもたちの学びや未来を考えることができます。
まさに、まちの保育園・こども園にはなくてはならないキーパーソンとも言えるでしょう。

「まちの保育園・こども園」を運営するナチュラルスマイルジャパンの松本理寿輝氏について

ナチュラルスマイルジャパン株式会社の代表取締役であり、まちの保育園・こども園の創業者でもある松本理寿輝氏は、大学時代に子どもの自律性や協調性を育む教育メソッド「レッジョ・エミリア教育」に感銘を受けて、保育分野に関心を持ちます。

保育士として働くことも考えたそうですが、保育士が輝ける場所を作りたいという想いから、大手広告代理店の博報堂に就職します。

その後、友人たちと不動産ベンチャーの立ち上げを経て、2011年4月に「まちの保育園 小竹向原」を開園しました。
現在では、1園目目の小竹向原と六本木、吉祥寺、代々木上原、代々木公園と計5つの保育園を設立・運営しています。

掲げている使命や理念

まちの保育園・こども園のコンセプトは、まちぐるみで子どもたちの教育にかかわることです。
子どもの感受性や創造性はかけがえのないものです。「子ども」として扱わず一市民として平等に接することで子どもがもつ無限の可能性を育むことができ、またその過程で大人にもたくさんの学びを与えてくれます。

子どもが駆け回る音や遊ぶ声にたいする苦情、公園でのボール遊びにたいするクレームなどによって、子どもが外で遊べる場所は少なくなりつつあります。子育て中の親御さんは肩身の狭いおもいをしている人も多いでしょう。

昔は大家族で2世帯、3世帯での同居が当たり前で、地域との密接な関わりもありました。
しかし、核家族化に伴い、隣人は”他人”となり地域で子育てをする土壌は少なくなってしまっています。
本来、子どもは日本の未来を背負う大切な存在です。子どもが地域と関わりを持ち、自分らしく成長することで、長期的な視点ではまちづくりにもつながっていきます。

コミュニティ(地域)が注目される理由

なぜ、これほどまでにコミュニティに関心が集まるようになったのでしょうか。そこには大きく3つの理由が考えられます。

東京一極集中の問題

1950年代以降から現在に至るまで、東京圏への人口移動は輸入超過になっています。
しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による影響で、2020年5月度には東京都単体で輸出超過を記録しました。

阪神淡路大震災から問題視されていたBCP(事業継続計画)対策の必要性が帯びてきています。
今回は、コロナウイルスによって大都市特有の人口が密集する性質そのものがリスクとなってしまいました。
これは今後起こるといわれている首都直下地震などの災害にも同じことがいえます。

関係人口の増加

次に挙げられるのが関係人口の増加です。
奇しくも、新型コロナウイルスの感染拡大によって、想定よりもテレワークが普及し、オンラインツールを活用したビジネスが活発になりました。
必ずしも、職住近接を求める必要がなくなったことから、生活拠点を地方へ移す人も増えてきています。

また、観光の次なる手として、関係人口の増加させるべくワーケーションや二拠点居住をする人々を誘致するための施策を実施する地方自治体も出てきています。

関連記事関係人口とは?地方創生に重要な人々と創出や拡大について解説

コミュニティビジネスへの関心の高まり

先程も書いたように、東京圏には人、企業、カネ、モノなど、多くの資源が集中しています。
しかし、常に行き交う大量の情報と人に疲れを感じ、時間の流れがゆったりした地方都市への移住を検討している人も増えています。

地方都市は、人手不足によって就職先不足、インフラ整備、地方活性化、IT・DX支援など、さまざまな問題が山積しています。
地方都市へのかかわりを持ちたい人の手を借り、コミュニティビジネスを展開することができれば、地方都市としては課題が解決し、また関係人口となる者にとっては、あたらしい生き方の選択肢を増やすことができます。

関連記事コミュニティビジネスとは?地域課題を解決する取り組みの特徴や事例について

コミュニティ(地域)が抱える課題

地方自治体の多くは、労働力不足、後継者不足、働き口の不足の3つの問題を抱えています。これらの問題が生じる要因としては、東京一極集中と少子高齢化が挙げられます。

情報や人、モノ、カネが集積する東京に会社や人が流出してしまうことで、地方経済が疲弊し、働き口も少なくなってしまいます。しかし、日本経済を支えているのは中小企業です。

中小機構によれば、日本に存在するおよそ358万社のうち99.7%が中小企業と言われています。もちろん、そのなかには伝統産業や先端技術を持っている会社も存在します。

参照:日本を支える中小企業

しかし、その中小企業の経営者も高齢化が進んでおり、帝国データバンクの調査では調査対象となった約26万6000 社のうち、65.1%にあたる約17万社が後継者不在の課題を抱えています。

参照:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)

コミュニティコーディネーターの今後

コミュニティコーディネーターの役割は、あくまで保育にかかわる仕事ではあるものの、地域経済を活性化するためには、次世代を担う子どもの存在が欠かせません。
子どもの成長期に、地域に対する愛着、情熱などが養われていくものであり、今後、子どもたちが地域をどう盛り上げていくかにかかっているといっても過言ではありません。

そういう意味においては、コミュニティコーディネーターという役割は今後も地方経済に求められるキーパーソンとなるといえるでしょう。

テイラーワークスはコミュニティコーディネーターを支援し、地域課題・社会課題の解決に取り組みます

ここまで解説してきたコミュニティコーディネーターについてまとめます。

  • コミュニティとコーディネーターの意味をそれぞれ紐解くと、コミュニティコーディネーターは「コミュニティ内で発生する企画、生産、販売などの業務を管理し、遅滞なく遂行する仕事」と捉えられる
  • コミュニティコーディネーターは明確な業務内容が決められていないため、手探りで何が正解か、今必要なことを主体的に「問う力」が求められる
  • 地方都市には、人手不足によってさまざまな問題が山積しており、地域との関係性を構築するコミュニティコーディネーターのような役割が求められている

テイラーワークスは、「世界を変えるつながりを創る」をミッションに、「ひらめきにときめく社会」をビジョンに掲げ、コミュニティアプリ「Tailor Works」やコミュニティ運営ノウハウを市場に提供しています。

Tailor Worksは、コミュニティマネジメント機能を始め、ユーザーが課題や相談を掲出し、コミュニケーションを促す体験設計が特徴のため、オープンイノベーション関連の施策や社会課題解決、共創プラットフォームなど、課題解決をテーマにしたエコシステムとコミュニティの創出に適しています。

オンラインコミュニティを通じたコラボレーションやイノベーション創出、課題解決やエコシステム構築を考えている皆さまは、ぜひTailor Worksの活用をご検討ください。
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