コミュニティーマネージャーとは?

コミュニティマネージャーとは?
仕事内容や必要なスキル、
担う役割まで詳しく解説

近年、日本でもコミュニティをマーケティング施策に活用する事例も増えてきています。
それに伴い、コミュニティを管理するコミュニティマネージャーという仕事にも注目が集まっています。
海外、とりわけアメリカにおいてコミュニティマネージャーは実務と戦略立案を兼ねた仕事として確立されており、年収10万ドル(約1,000万円)以上に設定されていることも。

しかし、日本ではまだまだコミュニティマネージャーの定義が明確になっておらず、価値を正しく評価されていないのが現状です。
本記事では、コミュニティマネージャーの定義から、コミュニティビルダーやコミュニティデザイナーなど類似した役割との違いについてまとめて解説します。

コミュニティマネージャーとは?

コミュニティマネージャーとは、コワーキングスペース、シェアオフィスやビジネスコミュニティ、またオンライン上のコミュニティなどの管理をする存在や仕事を指します。
コミュニティメンバーのマッチングサポート、コミュニティ活性化のためのイベント企画・開催や情報発信、コミュニティ内のトラブル解決など、実務にとどまらず戦略立案まで担い、その仕事内容は多岐にわたります。

そもそもコミュニティとは何か

ここでは、コミュニティマネージャーを知る上での基礎知識ともなるコミュニティについて解説します。

コミュニティは直訳すると、共同体、地域社会となります。
コミュニティという言葉は、1917年にトロント大学教授ロバート・M. マッキーバーによって執筆された書籍「コミュニティ」ではじめて言及されたと言われています。
そこで、マッキーバーはコミュニティを「一定の地域において営まれている自主的な共同生活」と定義づけています。

しかし、このコミュニティの定義は、インターネットが普及した現代には当てはまらない部分も多くなってきました。
インターネットを前提としてコミュニティを再定義すると、「共通目的がシェアされており、新しい価値が生まれている場で、かつ人以外の集合体も接続する役割を担う存在」となります。

現代におけるコミュニティは、必ずしも「生活をともにする」という要素の可否は問いません。
例えばオンラインサロンやビジネスコミュニティなどは、仲間づくりやスキルアップといった共通目的のもとに人が集まり、そこにメリットや価値を感じて所属しています。

コミュニティマネージャーの種類

多様なコミュニティという概念において、コミュニティマネージャーもさまざまな形が存在します。

組織活性型

オンラインサロン、社内コミュニティ、シェアオフィスなど、コミュニティ活性化の役割をもつコミュニティマネージャーです。
イベントを企画・開催したり、会報誌を作ったり、人と人のマッチングを行なったりと、コミュニティの士気を高めるためにさまざまな施策を実施します。

生活創出型

旧来からの定義に該当する生活に密接したコミュニティを統括するマネージャーです。
例えば、団地内のコミュニティ、さらに大きなところでいえば商店街や村なども該当します。
古くは組合や商店会などがその役割を果たしていましたが、地域の高齢化に伴い、有志のNPOや民間団体などによる管理支援が入るケースも増えています。

顧客獲得型

アンバサダーやユーザーコミュニティといったコミュニティを統括するマネージャーです。
熱量の高いユーザーを巻き込み、新しいファンを増やして新規顧客獲得のための施策を企画・実施します。

コミュニティマネージャーが重要視される背景

なぜコミュニティマネージャーという職業が注目されているのでしょうか。
そこには「購買行動の変化」「情報ソースの変化」という2つの背景が考えられます。

問われる広告の意義

従来は、プロダクトアウトが主流で「作れば売れる」という時代でした。
しかし、インターネットが台頭したことによりユーザーは主体的に情報を収集しやすくなり、より良い商品・サービスを求めます。

経済産業省の調査によれば、2021年5月における4大広告の広告費のうち、インターネット広告の増加率がもっとも高く、昨年同月比で44.1%増となりました。

参照:特定サービス産業動態統計調査

しかし、手軽に情報を取得できるようになった反面、それが真実かどうかを判別するのも難しくなっています。
センプレデジタルクライシス総合研究所が2020年に行なった調査によれば、日本におけるフェイクニュースの件数は年間で2,615件、1日平均に換算すると7.2件となります。

参照:デジタル・クライシス白書2020

このような社会背景から、近年は情報ソースが「インターネット」から「知人の口コミ」へと原点回帰する傾向もみられます。
より信頼性の高い情報を求めるようになっているといえるでしょう。

何を買うか"ではなく"誰から買うか

従来のマーケティング手法であれば、商品やサービスのスペックをアピールし、そのニーズに合致するユーザーを獲得することで、売上アップが見込めました。
しかし、インターネット検索で簡単に他社と比較できる昨今において、スペックや安さというポイントはすぐにコモディティ化してしまいます。
そこで重要になるのが、商品やサービスの作り手の想い・情熱です。
“何を買うか”ではなく、”誰から買うか”、商品そのものよりも買う動機がポイントになります。

コミュニティマネージャーと類似語の違い

ビジネスや生活などさまざまな面でコミュニティが求められるようになりました。
それに伴ってコミュニティに必要な役割も増しています。
ここでは、コミュニティーマネージャーに類似する役割との違いについて解説します。

コミュニティリサーチャーとの違い

コミュニティリサーチャーは、リサーチおよびサービスプロモーションなどを目的として、インタビューや観察などの手法を使い、調査を実施する存在・仕事を指します。
調査に必要であれば、コミュニティの活性化のための施策やイベント企画、インタビュー設定などもあわせて行います。

コミュニティビルダーとの違い

コミュニティビルダーは、コミュニティをゼロから創り上げる役割を担う人を指します。
主に、空き地や埋立地など遊休地に人を定期的に呼び込んで活性化させたり、人口が減少し廃れてきた施設の活性化などを担います。

コミュニティデザイナーとの違い

現存するコミュニティを再定義し、活性化させる役割を担うのがコミュニティデザイナーです。
コミュニティデザイナーは主役ではなく、あくまでコミュニティメンバーが主体となります。
コミュニティメンバーと伴走し、自走するまでのサポートをします。

コミュニティマネージャーの仕事内容

次に、コミュニティマネージャーの仕事内容と流れについて解説します。
コミュニティの性質によっても差異はありますが、大きく分けると以下のような流れになります。

コミュニティの形成

コミュニティにおける課題、目的や目標を整理して戦略を立案します。
コミュニティ運営に必要なWebサイト、システム、人員などを計画し、予算編成を行います。

コミュニティの育成

コミュニティの形成が完了したら、会員同士の交流会やビジネスマッチング、相談会など、コミュニティ育成のためのコンテンツを企画・実施します。
コミュニティ加入の付加価値をつけるため、ゲストスピーカーを招致したり、有名クリエイターの無料相談会を企画したり、柔軟な発想と企画力が問われます。

コミュニティの運営

コミュニティメンバーの管理、入退会の管理を行います。
コミュニティのカラーが損なわれないよう、入会基準を作るのもコミュニティマネージャーの仕事です。
また、継続率や解約率、コメント率など会員情報やコミュニティ内の行動をデータ化し、運営改善に役立てます。
特に、オンラインコミュニティでは、ユーザビリティが重要視されるため、常に使い勝手の良いシステムやサービスの提供を心がる必要があります。

コミュニティのトラブル解決

コミュニティメンバー間のトラブルがあれば、間に入って解決に努めます。
不要なトラブルが起こらないよう、抜け漏れのない情報伝達が重要です。
トラブル発生時には、両者の意見をヒアリングし、トラブル解決に向けて迅速に対応します。
トラブルが長期化した場合も想定し、あらかじめ法務部や顧問弁護士や税理士などと連携しておくことも大切です。

コミュニティマネージャーに求められるスキル

コミュニティマネージャーは、さまざまな人とコミュニケーションを取って、コミュニティ活性化のための施策の企画・実行など、マルチなスキルが求められます。

ユーザーの声を拾い、代弁する力

コミュニティのなかの人であると同時に、コミュニティの代表としてメンバーの声に耳を傾け、それをすぐさまフィードバックする必要があります。
相手の意図を正確に理解し、それをわかりやすくして伝え直す柔軟なコミュニケーションスキルが求められます。

巻き込む力、伝える力

顧客獲得型のコミュニティでは、自社の商品やサービスを熟知し外部イベントに登壇したり、外部メディアで寄稿をしたり、マネージャー自身が伝道者となり、ブランドイメージの向上に貢献します。

柔軟な思考

コミュニティに共通目的はあれど、そこに在籍するメンバーは多種多様です。
固定観念を持たずに各人の背景や意志を尊重します。
また、時代の変化にいち早く気付き、すぐさまコミュニティに反映することも大切です。

場を編集するスキル

自身をハブとしてコミュニティメンバーの間に入り、マッチングを促したり、双方の課題を解決したりといったサポートをします。
さまざまな業務を横断し、柔軟な手法で解決に導きます。

コミュニティマネージャーの企業事例

ここでは、コミュニティマネージャーを導入したことで、ブランディングや事業拡大に成功した企業事例をいくつか紹介します。

事例①:Apple

いち早くコミュニティの価値に目をつけ、商品プロモーションにうまく活用したのがAppleです。
Appleは世界各地に「Apple Store」と呼ばれる直営店舗を展開しています。
そこでは、自社製品の販売だけでなく、iPhoneの写真撮影のコツや音楽制作などが無料で学べる講座「Today at Apple」の開催や製品の不具合や故障をチェックする「Apple サポート」も併設しています。
手厚いサービスによって、ユーザーと良好なリレーションを築き、Appleというブランド価値を高めています。

事例②:スノーピーク

スノーピークは、日本を代表するアウトドアやアパレル製品の開発・製造・販売を行う企業です。
1998年から毎年開催されているキャンプイベント「Snow Peak Way」を通してユーザーと接点をもつことで、顧客のニーズに沿った商品開発が実現でき、ブランドの確立に成功しています。

事例③:スターバックス

スターバックスは、「人々の心を豊かで活力あるものにするためにひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というミッションからもわかるように、消費者や地域、企業とのつながりを重視しています。
例えば紙芝居のお話会やお絵かきなど子供向けの「キッズパーティー」、店舗周辺の清掃活動を地域の人やお客様と一緒に行う「クリーンアップ」、コーヒーや紅茶をよりおいしく味わってもらうための「テイスティングパーティー」など、地域、お客様と良好な関係を築くためのさまざまな施策・取組を実施しています。

事例④:ランサーズ

日本最大級のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」は、2019年4月に新しい働き方の提唱・実験をテーマとした共創コミュニティ「新しい働き方LAB」を立ち上げました。
ランサーズのユーザーでもあるフリーランスが全国21拠点のコミュニティマネージャーに就任し、各地で働き方やキャリアにまつわるイベントや取組の企画や推進を行なっています。

2021年5月からは、個人が働き方を実験するプロジェクト「研究員制度」を開始しました。
より幅広いユーザーが関わり、Udemy、アドビ、日本HP、ThinkLabといった企業の参画も決定しており、さらなる盛り上がりをみせています。

事例⑤:Salesforce

Salesforceが展開するオンライン学習サービス「Trailhead」のリリースを機に、オンライン・オフライン統合型コミュニティ「Salesforce Trailblazer Community」が誕生しました。
オンラインメンバーの数は世界で200万以上、オフライングループの数は900以上、ITサービスが保有するユーザーコミュニティでは世界最大規模となっています。
このコミュニティでは、ユーザー同士での課題解決のコミュニケーションやナレッジ・スキルの共有、またミートアップの開催、豪華ゲスト陣を招致したカンファレンスの開催など、顧客との継続的な関係構築に努めています。

事例⑥:カゴメ

野菜飲料の大手企業カゴメは、トマトジュースブームに火がつき、2013年3月には92億円の営業利益を出します。
しかし、その後ブームの収束とともに営業利益は漸減していきました。
その状況を打破するためにカゴメは、売上の30%を握るヘビーユーザーに着目し、2015年4月にファンコミュニティサイト「&KAGOME」を設立。
すぐに消費される短期的コンテンツではなく、トマトに関するレシピ、トマトの苗を届ける応募企画などファンとのリレーションをしっかりと構築する中長期的な企画・コンテンツを発信し続けた結果、会員数は3万人に。
月間におけるユーザーアクション率は10〜15%以上を誇る濃度の高いコミュニティを構築しています。

事例⑦:ヤッホーブルーイング

ヤッホーブルーイングは「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、日本に新たなビール文化を創出することを目指し、さまざまな活動を展開しています。
特に、ヤッホーブルーイングの大きな特徴が、ファンコミュニティを通してファンとともにビール文化を共創していく姿勢です。
「よなよなエールFUN×FAN団」と呼ばれるユニット(部署)が主導となり、「よなよなエールの超宴」や「大人の醸造所見学ツアー」といったファンイベントや、「よなよなエール ペアリング編」といったオンラインイベントの開催を企画しています。
テクニックに依らず、ファンを”仲間”として接し、信頼関係を築くことを重視したコミュニティ運営をした結果、「ファン宴」「めっちゃ!宴」といったファンが独自企画したイベントが生まれる自発的なコミュニティへと成長しました。

コミュニティマネージャーの現状と今後

生活者の消費や購買などを含めた行動変化に伴い、コミュニティの価値が認められるとともに、企業、行政、地域などさまざまな場所でコミュニティマネージャーの需要が増えつつあり、今後ますますその市場価値は高くなるでしょう。

しかし、現状コミュニティマネージャーという役割そのものの認知度が高いとは言えないでしょう。
本記事で解説したように、コミュニティマネージャーは幅広い知見やスキルと柔軟性を求められ、そのようなスキル要件を満たす人材がまだ少ないということも認知度が高まらない要因のひとつだと考えられます。

一方で実際にAppleやスターバックスなどコミュニティマネージャーを導入して成功した事例もあります。
コミュニティマネージャーを置くことは有効なマーケティング戦略のひとつであり、今後は企業成長における重要性も増していくことでしょう。

テイラーワークスはコミュニティの力を活用して課題解決に取り組みます

ここまで解説してきたコミュニティマネージャーについての内容をまとめます。

・コミュニティマネージャーとは、イベント企画・開催や情報発信、マッチング支援、コミュニティ内のトラブル解決など、コミュニティ活性化におけるあらゆる施策、戦略立案に関わる存在や仕事を指す
・今後はコミュニティを活用したマーケティング戦略を実施する企業は増えると予想される。それに伴い、コミュニティマネージャーの需要も高まるとみられている

テイラーワークスは「豊かで持続可能な地域経済をつくる」というミッションを掲げ、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスを促進するためのさまざまなソリューションを備えた、オンラインコミュニティプラットフォーム「Tailor Works」を提供しています。

「Tailor Works」では、メンバーコミュニケーション、ビジネスマッチング、オンラインイベント開催、高度なデータ分析と、コミュニティの活性化にまつわるさまざまな機能が実装されています。

また、定例ミーティングの実施、コミュニティ構築支援など、コミュニティの運用のサポートにも対応。


地域と企業をつなぐコミュニティを通じて社会課題を解決、地域を活性化させたいと考える企業、自治体様は、ぜひ「Tailor Works」の活用をご検討ください。
また、「Tailor Works」に関するお問い合わせもお待ちしております。

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